有光 刈払機 AHB-263L 三菱TS26エンジン 2023.4.10

有光 刈払機 AHB-263L

近所の農協に来月から散布する農薬を買いに行ったらたまたま展示してあった刈払機が目に入った。

メーカーは防除機で有名な有光工業

ループハンドルの26ccメーカー価格は¥94,380-と結構いいお値段。

それは盛りすぎとしても決して廉価版では無いと思われる。

ニッカリのSED2700と殆ど同じだが向こうは¥66,000-

いずれにせよ至極真っ当なザ刈払機だろう。

おそらくこのメーカーのOEM品だろう。

で、この有光は農協で五万ちょい。

これを定価ではちょっと手が出ない話だからこの農協は妥当な販売価格だろうと思う。

 

 

有光  刈払機 AHB-263L



メーカー 有光工業

26ccクラスのループハンドル仕様

重量 4.3kg

エンジン 三菱TS26

クラッチハウジングは金属製

スペックとしてはナイロンコード使用可能な金属製ハウジングのループ式26ccという至って無難な内容。

竿も普通のアルミパイプで強度も至って普通。

ホムセ仕様のような華奢なパイプでは無いのでご安心を。

ホムセ仕様はパイプ厚も薄いのでブルブル震えて共振する。

今まで手持ちの刈払機は特徴が両極端に振っていて真ん中の潰しのきくものが無かったので丁度今回入手して良かった。

外観は野暮ったさはあるがそこそこ良い。

色も含め外観が格好悪いのはやる気が出ない。

でも有光って防除機メーカーなんだけど刈払機も売ってるのか。

最近まで知らなかった。

改めて調べると三菱エンジン使う刈払機は結構何社も出している。

単に販売窓口として売っているのかどうかは分からんが。

まあメーカーがどこであろうと今回は近所の農協なんで修理の面では一安心出来る。

(この頃の農協は修理が弱いのが悩みの種だけども)

 アクセルレバーは三菱エンジン搭載機によく使われるセットした回転数が固定されるタイプ。

レバーを握り直してもずっと固定される。

ゼノアで言うところのSTレバー 共立のツインスロットルレバー。

スチールのFS26などの国内向け新型レバーとおんなじ。

イリノも同じ。

これと全く同じレバーを今まで両手ハンドルの刈払機で使っていたので使い勝手はわかっている。

使いにくい事はなく普通に使っている。

安っぽい感触では無く至って普通に使える。

共立も新ダイワもゼノアも同じような方式だが使った事無いのでこんなものなのかどうかは分からない。

ちょっと前のレバーはレバーを解放すると回転数設定レバーがリセットされるものがあったがあれは使えない。(いまだに使っているメーカーもあるようだが)

エアフィルターはよくある丸型のもの。
ホムセのbigmなどのものは厚みが違う事から装着しても吸気抵抗が増え吹け上がらない。

悔しいが純正品を取り寄せするしかない。

キャブのケーブルの固定箇所もやっぱり三菱共通で簡易な作り。

軽トラの荷台に乗せる際に他にも荷物が満載になる事も多い。

上に乗った荷物に押されてその箇所がケーブルがポッキリ折れ曲がる事はよくある。

また引っ張られると当然アクセルワイヤーも引っ張られる事になる。

こればっかりは三菱エンジン使う限り刈払機メーカー側で変えられないのでしょうがない。

有光 イリノ ニッカリ カーツ 初田 マルナカ 多分皆んな同じ式。

このように強度の無い簡易なチューブで補強されてはいるが取り付けネジから出たケーブルがポッキリ折れる事が多い。

そこで以下のように補強

ホムセで10mmのコルゲートチューブを買ってきて上から補強。(入れ替えでは無く元のチューブの上から)

要所要所にインシュロックを締めて完成。

元のチューブより硬く強度があるので抜けたり折れたり引っ張られたりという心配がかなり軽減される。

ちょうど腰のハサミとかノコギリなどによく引っかかる為に前からこの手の処理の機体は気になっていた。

当面これで安心。

 

あと1点だけ気になる点と言えば竿を前に出してエンジン部を横っ腹に当てるとエアクリの吸気口が塞がりエンジンストールしてしまう。

結構頻繁に発生しはじめは故障かとビックリした。

ループハンドルやツーグリップでの操作で起きる現象で両手ハンドルや背負なら関係無い。

こういう竿操作はナイロン使用時くらいだと思うが結構吸気口を塞ぎやすい。

着ている服にもよるが空調服で膨らんだ生地がうまいことペタッと吸気口に吸われてしまう事があった。

エアクリの左下に吸気口がある。

そこで吸気口周りを一応ガードするように樹脂の板を貼り付けた。

ホムセで売っている発泡塩ビの板で熱を加えると曲げられるというもの。倉庫に切れっ端があったのでとりあえずくっつけてみた。

これで吸い込まれてエンジンストールする心配は無くなった。

構え方を工夫しても防げるとは思うが、余計なストレスを貯めたく無いので見栄えは悪いが実用本意で満足している。

体から離せば腰に余計に負担がかかるので出来る限り体幹に重量物は近づけるべきだと思う。

 

防振機能は取説にはハウジング防振と記載している。

これが何を意味するどういうものか分解してみないと分からない。

また今度気が向いたらクラッチハウジングを開けて見てみよう。

 

ちなみこの三菱TS26エンジンだけども何故TBE27じゃなくTB26の復刻版のTS26なのかだが農協が言うにはTBE27は排ガス規制の問題で主力エンジンがTS26に移っているとの事。

逆なら分かるがなぜ設計の新しいTBEが排ガス規制云々で使われないのか?何だか腑に落ちない情報で本当のところよくわからん。

確かに最近何故かTSエンジンをよく見かける。

かといってTBE27がカタログ落ちしている訳ではない。

TBE27は気持ち良く上まで回って始動もしやすくパワーもまあまあ有り良くできたエンジンだったけどな〜。

しかし両者の違いが刈払機メーカーでは明示されておず兼売のような形で搭載されている。

消費者としてはどっちを選べば良いのか?という事になる。

結局カタログ資料ではさっぱりわからない。

話はTS26に戻り

まあでも排ガス規制前のTB26の化粧直し版なんで出力も大丈夫だろう。

ギアケースは傘の部分が樹脂でギア比は通常の1.3のタイプ。

ただ面白いのは刃の固定ボルトがM8の19mmである点。普通はM8は13mm何だけども妙に頭デッカチのボルト。

プラグのサイズと同じで合理的といえば合理的だ。

形が特殊で例えて言うと画鋲くらいのバランス感。

こだわりがあるのだろう。

 

とにかく色んな点で有光の刈払機と言うだけで全く情報が無いので正直なところ使ってみないと分からない。これは三菱エンジン使う他メーカーも同じだろう。

なので今回出来るだけ正直な感想をこれから使ってみて微力ながらレポートしていきたいと思う。見た感じは実に真っ当な作りなんで悪いはずが無いと思う。

 

何はともあれ新しい刈払機を買うと妙にテンションが上がる。新車よりも新しい刈払機の方がワクワク感がある。気分もリフレッシュしてさあ今年も草刈りシーズン到来だ。

 

●早速使ってみた感想(三菱TBE27エンジンとの比較)

エンジンは非常にかかりやすくストレスは無い

排気音は比べると耳に優しいこもった音質で静かな部類。

レスポンス パワー感 軽快感は何ら不満は無い。

燃調は購入したままだが農協はキャブ調整してないのでメーカー組み立てそのまんま。

そのうち自分で煮詰める予定。

出力は0.8kw メーカー資料有り

TBE27も0.8kwでメーカー資料有り

TBシリーズは規制前エンジンなので今時のTBE27より全然パワーが上であったと思われる。ただし燃費もそれなり。

昔の資料が無いので想像でしか無いが1kw近くあったのでは?と思う。

今時のエコエンジンは排ガス規制の為にずいぶんと出力を絞られたようだ。

今時のエコエンジンと比べると1クラス分くらい出力が違うようだ。

 

 

マフラーは従来型の出口が丸形

左がTS26用 右はTBE27用

(出力に違いが出るか今度試しに交換してみよう。)

山林用の刈払機はマフラーの排気音がデカいので山林以外の民家近くなどでは使いづらい。その点三菱のエンジンはそこまでうるさくない。

結構これも大事で下手にパワーがあるからと言って集落内で山林用をぶん回していると

近隣とのトラブルも起きやすい。

 

問題は燃費だが比較試験をしてみた。

条件はナイロンカッターほぼ全開。

使用コードは丸山ノコブレード2.7mm

ローターは山善GT-03R

TS26は45分もたないくらい。

TBE27は測ったかのようにちょうど60分

結構大きな差で30%ほど差がある。

金属刃での中速では又結果が変わるかもしれない。

自分は別に燃料代云々は全く気にしないが補充回数がやたら増えるのも考えようだというスタンス。

でも許容できる範囲だ。

 

次に出力の比較としてナイロンコードをどれくらい伸ばせるか測定したところ直径はそれぞれ

TS26は45cm  (片側18cm)

TBE27は41 cm (片側16cm)

という結果になった。

(ローター直径9cm 丸山ノコブレード2.7mm)

★ただしこの数値は実際の使用時のものではなく無負荷状態で回せる限界値

 なので当然実際の使用時はいくらか短くなる。

 

実際のナイロンカッター使用時の上記の長さではTS26の方が25%遠心力が強いという事になる。(空気抵抗などを加味しない単純な遠心力計算の場合)

エンジン出力の僅かな差が実際の刈り刃の先にかかる力の差に大きく表れる。

実際の作業時の感触はTS26の方が少々コードが伸び過ぎても回し切ろうとする力強さがあったがTBE27は回転落ちは割とはっきりと感じる。

典型的なエコエンジンの特性

またTS26は下から上までトルク感はあるがTBE27はトルク感を感じるには結構上まで回さないといけないように感じる。中低速のトルクはTS26に軍配があがると感じられた。

 

これをどうとるか。

いずれも上まで回した場合26ccクラスとして真っ当な出力が出ていると思われる。

中でもTS26は十二分にナイロンカッターが回せる。

メーカーによっては26ccと言いつつ明らかにトルクの無い出来の悪いものがあり間違って手を出すとガッカリするがこの三菱エンジン(26ccにおいて)はその心配は不要。

ナイロンでトルクとパワーを最重視ならばTS26

金属刃メインで燃費重視ならばTBE27

といったところか。

自分はナイロンメインの為に断然TS26

かと言ってTBE27がパワー不足という事は無く上まで回せば

過不足無くパワーが有りナイロンも普通に対応出来る。それで燃費も良いので総合的にはかなり出来が良いとは思うのだけど何故に主力から外れているのかよく分からん。

→排ガス自主規制による余剰枠内で製造しているようだ。

 という事はあくまでメインはTBEで環境性能をアピールして非対応だがハイパワーのTSエンジンを作れる枠内で作るという事か。

 

燃費に関しては一日中草刈り作業などの場合は両者の差は大きいと思う。

特にナイロンで全開で刈ってると燃料補充回数がだいぶんと違う。

まあでもこの値段でこの仕様を買えたので自分的にはかなり満足している。

このループ式は常時軽トラに乗せていても邪魔になりにくいし帰り際に小一時間程草刈り作業をババっとしたいという自分のニーズにはハマっている。

一日中の本気の草刈りの日はメインの背負い式大排気量を出すがそうではないついで作業にはこのフットワークの軽さとパワーが抜群に良いと思う。

三菱エンジンを使う刈払機メーカーはたいてい両方をラインナップとして出しているが選ぶとなったらチップソーメインで低燃費を求める方はTBE27を搭載している機種を選ぶ方が幸せだと思う。TBE27でも不満無くナイロン使えます。燃料補給回数が長時間になる程大きな差になる。

自分のような短時間で一気に勝負する使い方ならTS26を選ぶのも有りだと思う。

総合的にエンジン以外の所は特に違和感は無い。

至って真っ当な作りをしているしっかりとした刈払機だと思う。

 

⚫️2023.9.1 その後の感想

 

やはり

TS26は馬力とトルクがあるかなり優秀なエンジンだと思う。

回さないと草の抵抗で回転がガタ落ちするという事が無く結構粘る。

TBE27の0.8kwと比べると体感的には1kw前後くらいはあるように思う。

しかし何故か資料には0.8kwとある。

実際比べるととても同じ0.8kwとは思えない。

トルクの出方は双方異なる。

ナイロンメインならばやっぱりTS26だろうと感じた。

これならば共立や新ダイワ ゼノアの同排気量にも引けを取らないのでは?とも思う。

逆にTBE27の弱点が結構目立ってきた。

確かに上まで回せば実用になる並のパワーが得られるが金属刃を使用する中速付近ではトルクが弱く草の抵抗に負けてしまい結局上まで回しがち。

低燃費のエコエンジンの傾向なのか比較するとイマイチパワー感に欠ける。

両方のエンジンが選べるならばナイロン 金属刃共にTS26がベターだと感じる。

それにしても同じ排気量 同じメーカーでも結構出力特性が違う。

どれを選んでもそう変わらないという事は無く実際は結構差がある。

ふと沸いた疑問は三菱のTB33 TLE33など30ccクラスは出力が1kw割るくらいだがそうなると差が無いように思う。メーカーがあまりそのクラスに力を入れていないのか26ccクラスに力が集中しすぎているのか30ccクラスとの差別化が少し薄いように思う。

トルクはいくらか上がるだろうが大幅な違いでも無い。
ほとんど差が無いのであればわざわざ重いエンジンを選ぶ必要性が無い。

 

問題は来春以降に三菱の小型エンジンの事業が他社に移る為にその後どうなるかだ。

エンジンを内製していない共立 新ダイワ ゼノア 丸山以外のメーカーにとっては切実な問題ではなかろうか?

 

総括として三菱のTS26エンジンは今どきのエコエンジンでは無いがハイパワーハイトルクのかなり優秀なエンジンだと思う。

定番メーカー品より価格が安い事もありそれならばメリットはある。

しかし他の定番メーカーと価格が変わらないのであればこれをあえて選ぶ必要も無い。

自分の場合は近くの農協が得意としていたメーカーだったという事だけが理由。