2014,9,21 片刃 鉈 刃角修正

好みの刃の形状、角度にする為まずは砥石の準備から。
左から修正用砥石、GC#46 GC#80 GC#220 A#1200 C#3000 A#8000とあります。
修正用の砥石は粗砥に使用し#1200から上は隣同士の砥石をこすりあわせてます。
今回の刃付けはGC#46からスタート。
普段の手入れでここまで粗い粒度の砥石を使う事は無いと思うが今回は異例で蛤刃から直刃に変える為にやむなく。
市販されている鉈(剣鉈も含む)は手砥ぎはまずなく回転水砥石などで見栄え良く強度重視の
研磨がされています。実用的で一般的には何ら問題無し。



新品の鉈をまず粗砥(GC#46又は#80)で切刃をフラットに修正することから開始します。

切刃(片刃の斜めにフラットになっている部分)が新品時は蛤刃で刃先手前が緩くR状になっており普通に中砥石で切刃を手砥ぎしても刃先を研ぐことが不可能。
そこでどの辺りから蛤になっているのか確認する為に刃先部分に黒マジックで全体を塗りぬり。

切刃を修正する為に砥石にぴったり付けGC#46で砥ぎはじめる。
GC#80より細かいものでは一向に修正出来ない。GC#220ではいくら研いでも刃先にたどりつけない。)
GC#80より粗いものは切削時間は若干早いが減りも尋常ではないくらい早い。砥石の平面度を保てないので
頻繁な面の修正が必要となる。)
黒く残ったマジックのあとが刃先の砥げていない部分。
(僅かではあるがまだ刃先が切刃の面に対し内側に凹んでいるという事)


全体的に刃先が砥石に当てっておらず研げていないことが一目瞭然。
これは製造時に切刃の面から更に鈍角に刃先だけを研いでいたという事。
(蛤刃なので当然です)
最もこれが悪いわけではないが自分の用途にはマッチしないので出来れば出荷時は
フラットで出して欲しい‥‥。(普通の使い方では蛤刃がベスト)
しかしふと思ったが、一般の方は蛤刃なんて知ってるか?
多分、知識のない方はせっかく新しく鉈を買ったのに片刃のセオリー通りに研いでもいっこうに
刃が付かないという事になる。
しかし残念ながらGC#220では
いくら研いでも刃先までたどりつけません。
最終的には使うのを諦める方もおられるのでは?とも思います。
勿論我々のような山師は先達から研ぎのイロハを叩き込まれてはいるが、、、、。
でも今回のような蛤刃から直刃に戻すのは私の仕事では稀なケースです。
多分切る対象が普通に戻れば蛤刃に戻すと思います。


一回研いでは砥石の面を修正し、また研いではの繰り返し。
面の修正を面倒くさがらず毎度毎度丁寧に行うことが必須。
これを怠るとせっかくの苦労が台無しになります。

切刃を徐々に削っていきマジックの跡もなくなり尚且つ裏にバリが出始めたらようやく修正は終了。
そこからは通常の粒度で刃を付けて仕上げていくことになります。

時間がない方はベルトサンダーで極低速で削って修正するのも手だと思います。

※ 包丁などの薄刃であれば何ら問題ないがやはり鉈は頑丈そのもので手砥ぎでは屁のツッパリにも
  ならない。
  最終的にはベルトサンダーを使って粗研削を行い砥石で手砥ぎする方法に落ち着いた。