2014,12,20 剪定鋏  飛庄SR-1 岡恒ユニーク200 アルスV8PRO 比較

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まず飛庄SR-1

そして岡恒 アルスV8PROと並べてみた

左から岡恒ユニーク200飛庄SR-1アルスV8PRO
こうやって3つを実際に握ってみると面白い。

飛庄は握っても親指側の突起と4本指側の柄のアールがうまく力が逃げないように作られていて
握り心地はアルスの次点を行く。
又、3種それぞれ重心が違っており
岡恒は刃に重心があり
アルスはど真ん中
飛庄はグリップに重心がある。
だからだろう初めて飛庄を持った瞬間手に沈み込むような不思議な感触を持った
長期間使用した場合にこの重心の違いが疲れにどう影響するか?


岡恒のグリップ素材と飛庄のは大して変わらない。
どちらもツルテカのビニール(ママチャリのグリップと同じ感触)
でも岡恒はスッポ抜けやすいというかまあよく手がズレる。
テープを巻いたり色々やって使っている。
見栄え等関係無くとにかく滑らないように工夫して使っている。
身長175cm手袋サイズLの自分は手が大きいほうだと思ってはいるが
岡恒の200mmは相当手が大きくないとフィットしないように思う。
それはグリップのアール形状を見れば納得行く。この重心も大きく影響していると思う。
飛庄の手に沈み込むような感触はそこに重心があるからであって尚且つ
4本指側のグリップのアール形状が岡恒の逆(アルスと同じ)である為に手がズレにくい。
改めて感心させられた。
又、作り込みも飛庄が格段に上。
なので現場で落とすとショックも大きい。
とても使い捨てなんて出来ない重厚さがある。
いずれの剪定鋏も定評があり素晴らしいが相性も大事
手に馴染む馴染まない、切れ味、耐久性、そして顔(外観)それらが総合的に自分に合うか
どうかが大事。
誰かが使ってるから自分にも合うというのは無い。師匠お勧めのものでも合わない事もある。
回り道しても生涯の相棒を探すべき。
こうやって辿り着いたものは肌身離せない相棒になるでしょう。

私的には握り心地は断トツでアルスであるがそれぞれをフィールドテストで長期に検証してみようと思う。
意外やこれだけ相性の悪い岡恒もまだ現場でよく使っているし良く感じてくるかもしれない。
但し価格は飛庄は岡恒の倍 アルスはここでも中途
一人でやる分には年間コストではそんなに気にする程でもない。
とは言いつつ飛庄は岡恒の倍の価格の為に使うのが勿体無く感じていつ下ろそうかと思案中です。そこが難点と言えば難点かな?
⚫️比較検証結果
切れの感触が岡恒の軽いサクッとしたものに対し飛庄は少し抵抗があり若干グッと切る感触でサクサクっとはいかない。
何というか悔しいが切れ味は岡恒が勝る‥‥。
切れの良さは 岡恒→アルス→飛庄の順
というのも4mmの枝までは両者差は無いが5mm〜を切る際は岡恒が圧倒的に勝る。
自分で研ぎ直してみると細枝は更にサクサク切れるがやっぱり5ミリを超えるとグッと抵抗が増す。
但し飛庄は逆に細かい枝落としにはスッと刃先が入り気持ちが良い。
これは刃の形状からくる特性なので用途に合わせて使えば良い。
また重心がグリップにある為に岡恒と比べるとであるが少し重く感じる。

切る際の音はグリップ材質の影響であろう岡垣と似た感じ。
スコッというかスコンっていうか聞きなれたあの音だ。
自分の場合は山で大雑把に素早くガシガシ切るには岡恒でその後の作業場での細かい作業には飛庄がベスト。
山じゃ落とす確率が非常に高いので使い捨て出来る岡恒がベスト。
(落とすと後から探しにみてもまず見つからない)
高価な飛庄を山で落とすと精神的ダメージ‥‥。
ではアルスは?というと現在2軍落ち
とにかくヤニに弱い。1日に何度も開かなくなる。
勿論毎日クリーニングしているがそれでもアルスは弱い。
現場で頻発すると仕事にならない為現在はメインを作業中に紛失した場合の予備用としてリュックに収まっている。
それにしても岡恒は一言で言えば無難。
コストパフォーマンスはピカイチ。
条件を問わず無難に使える。
皆が選ぶ理由も良くわかる。
3種試して改めて岡恒の凄さが分かった。
はじめは岡恒なんて‥‥と思っていたが大変失礼しました。
アルスは残念だが一軍にはなれそうにない。

●総括

価格     岡恒<アルス<飛庄
握りやすさ  岡恒<飛庄<アルス
ヤニへの耐性 アルス<飛庄<岡恒
切れ     飛庄<アルス<岡恒

このうち最も重要視しているヤニへの耐性から岡恒がなんだかんだ言って良いという事になる。
安い、よく切れ、ヤニに負けないの三拍子。
当初あんまり好きじゃなかったけど今は無くては困る相棒となった。
意外にも飛庄の切れ味がイマイチなのには少し残念ではあるが、、、、、。
でも愛着は1番わくのも飛庄だという事も付け加えておく。

◯補足
現場近くの果樹園のおっちゃん達は我々山師とは違いフェルコのようなゴツいのを使ってるのをよく見る。
今まで会った方は例外なくそうだった。
同業の山師はほぼ全員岡恒。
観察してみると結構面白い

◯研ぎに関して
今まで砥石でせっせと研いでいたけどベルトサンダーでやれば数分で済み確実に研げる。
曲刃で蛤刃って結構難易度高い。
平面の砥石でせっせと研いでもやっぱり満足にはいかなかった。
しかしベルトサンダーは楽チン。
あまりにあっけなく研げたのでこれからはこの方法で行こう。
A♯400で十分スパスパ切れる。
それも結構切れが持続する。
ただしスピードコントローラーを付けて極低速で行う事が必要。
岡恒以上に飛庄が切れるようになり切れ味は満足出来るレベルになった。
ただし高いので外では使うには勿体なさすぎる事もあり作業場での作業専用としている。やっぱり山では安くて切れる岡恒。

○剪定鋏の選定の結論

ほぼ毎日1000本くらいの枝をさばいている自分としては初期性能には関心はあまり無い。
すぐに切れ味が落ちたりヤニで開かないなど単純に初期の切れ味だけでは選んでは後でしんどい思いをする。
切れが長持ちしヤニに強い尚且つ握りやすい鋏が最高なんですがこれぞ最高というものはまだ無い。
及第点で岡恒なんですがこれを上回るものが未だに見つけていない。
いいものを見つけたらまた報告します。